骨のポキポキ音の正体は?

こんにちは。
院長の中本です。

今回は、昔からお話ししたかった「骨のポキポキ音の正体」について書いていきたいと思います。

私は中学生のころからよく手の指や足の指、背骨全体までバキバキと鳴らしていました。

最近、整骨院や治療院、整形外科などのホームページで、

「骨が鳴る仕組みは、関節が素早く動いたときに、関節内の圧力が急激に下がり、そのとき滑液から発生した気泡が崩壊するときに音が生じるキャビテーション現象であって、決してずれた関節が矯正されて元に戻ったわけではない」

といった説明をよく目にします。

この説を初めて聞いた時、私は大きな疑問を抱きました。

というのも、私の骨の鳴らし方が少しみんなと違っていて、指の鳴らし方について例に挙げると、普通は指を最大限に屈曲(曲げて)して鳴らすと思いますが、私は指を側屈(横に曲げて)させて音を鳴らす癖があります。

この変わった指の鳴らし方では、2回、3回、4回と同じ関節が連続して鳴ることがよくあるのです。

前述のキャビテーション説では「一度発生した気泡が再び滑液に溶け込むまでの30分間は音が鳴らない」とされています。したがって、キャビテーション説では私が2回、3回と音を鳴らせる現象を説明できません。

このような経験から、ポキポキ音の正体について疑問を抱いていましたので、少し調べてみることにしました。

調査の結果

「キャビテーションが音の原因」とする見解と、「関節の急激な動きが音を生じさせ、その結果として気泡が発生する」という2つの見解が存在することが分かりました。

キャビテーション説

キャビテーションとは、液体中の圧力が急激に低下することで気泡が発生し、その気泡が崩壊する際に音が生じる現象です。この説によれば、関節を鳴らす際に関節内の滑液中で圧力が急激に低下し、その結果として気泡が発生し、これが音の原因となるとされます。過去の研究では、関節を鳴らす際に関節内に気泡が生成されることが観察されています。また、関節を鳴らす音の周波数や強度がキャビテーション現象と一致するという報告もあります。

関節の急激な動き説

一方、関節の急激な動きが音の主な原因であり、その結果として気泡が発生するという見解もあります。この説では、関節が急に動くことで周囲の組織(例えば、靭帯や筋肉)が引っ張られたり、摩擦が生じたりすることで音が発生するとされます。その後、圧力の変化によって滑液中に気泡が生成されるというメカニズムです。音が鳴った直後にも関節内に気泡が観察されることがあり、これは音が鳴った結果として圧力が変化し、気泡が発生した可能性を示唆します。

調査結果の比較

最新の研究では、MRIや超音波を用いて関節が鳴る瞬間をリアルタイムで観察し、音が鳴る前後の関節内の変化を詳細に調べています。
例えば、2015年の研究ではMRIを用いて指関節を鳴らす実験が行われ、音が発生する直前に関節内で気泡が生成される様子が観察されました。この結果はキャビテーション説を支持するものとされています。

以上を総合すると、現時点ではキャビテーションが音の主要な原因であるという見解が比較的多く支持されているようですが、関節の急激な動きも音の発生に関与している可能性があるため、両者が複合的に関与しているという説明が、今のところ私の中では一番しっくりきます。

自分の体感覚では「癒着した靭帯がはがれた音」って感じているのですが・・・。

まあ何せ、生きている人体の中で起こることなので、解剖して調べるわけにもいかず、音の発生メカニズムは完全には解明されていない部分もあり、さらなる研究を待つ必要があるようですね。

このブログ記事が皆さんの参考になれば幸いです。
引き続き、健康に関する情報をお届けしていきますので、どうぞお楽しみに。

中本院長