背骨の骨と骨の間にある椎間板は「軟骨」じゃないです

こんにちは。
院長の中本です。

患者さんとヘルニアのお話ししていたら、

「背骨の軟骨がつぶれて変形して、飛び出してきとるって先生に言われたんよ」

と仰る方が多いです。

実際のところ、病院の先生が言ったのか、そう思い込んでいるかはわかりませんが、多くの人が椎間板のことを「軟骨」だと表現する場面によく出会います。

いろいろなメディアでわかりやすく説明するために、便宜上椎間板ことを「軟骨」と呼んでいる場合があり、誤解している方も多いのではないかと思います。

椎間板は、背骨の骨と骨の間に存在する構造で、主に「線維輪」「髄核」の二つの部分から成り立っています。

  • 線維輪(せんいりん)
    何層にも重なる強固なコラーゲン繊維で構成されており、外側の部分です。この部分は非常に強く、弾力性も持ち合わせているため、背骨にかかる圧力や衝撃を吸収する役割を果たしています。線維輪は、その強靭さと柔軟性によって、椎間板を安定させるとともに、動きに対する耐久性を提供します。
  • 髄核(ずいかく)
    椎間板の中心に位置するゲル状の物質です。髄核は水分を多く含んでおり、圧力がかかると形を変えることで、ショックを吸収します。この機能によって、髄核は日常の動作や衝撃から背骨を守る重要な役割を担っています。

軟骨は関節の表面を覆い、滑らかで摩擦を減らす役割を持つ組織ですが、椎間板は異なる役割を持ちます。椎間板は、主に背骨にかかる負荷を分散させ、衝撃を吸収することが目的です。したがって、椎間板を軟骨と混同するのは誤りなのです。

椎間板が損傷すると、線維輪や髄核の変性が進行し、椎間板ヘルニアや慢性的な腰痛の原因となることがあります。このため、椎間板の構造と機能を正しく理解することが重要です。正しい知識を持つことで、腰痛の予防や適切な治療に役立ちます。

このように、椎間板は軟骨とは異なる独自の構造を持ち、背骨の健康と機能を支える重要な役割を果たしています。適切なケアと注意を払い、健康な椎間板を維持することが、快適な生活を送るために重要です。