ぎっくり腰は、急性腰痛とも呼ばれ、突然の腰の痛みを指します。この痛みは、普段の生活の中でのちょっとした動作、例えば物を持ち上げたり、体をひねったりした瞬間に発生します。ぎっくり腰の種類と原因や症状について詳しく説明します。

ぎっくり腰の種類

筋筋膜性腰痛

筋筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜が過度に緊張することで引き起こされる痛みです。いわゆる一般的に「ぎっくり腰になった」とか「スジを痛めた」と言われているもので、筋肉の硬直や局所的な痛みが特徴です。特定の姿勢や動作で痛みが増すことがあり、通常は安静にすると改善します。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、脊椎の間にある椎間板が突出し、神経を圧迫することで強い腰痛や足の痛みを引き起こします。ぎっくり腰と似た突然の痛みを感じることがありますが、ヘルニアの場合は痛みが腰から脚に放散する坐骨神経痛を伴うことも多いです。また、感覚の異常や筋力低下を伴うことがあります。

腰椎の圧迫骨折

圧迫骨折は、特に高齢者や骨粗鬆症の患者に見られるもので、骨が弱くなることで軽い外力でも骨折してしまいます。ぎっくり腰と同様に急激な腰痛を感じますが、骨折の場合は特に背中や腰の中央部分に激しい痛みを感じることが多く、体を動かすことが困難になります。

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり神経が圧迫されることで起こる病状です。ぎっくり腰のように腰痛が発生することがありますが、しばしば脚にまで痛みやしびれが広がり、長時間の立位や歩行が困難になることがあります。

坐骨神経痛

坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫されることによって生じる痛みです。腰からお尻、太もも、さらには足にかけて痛みやしびれが広がります。ぎっくり腰のような急激な腰痛を伴うことがありますが、坐骨神経痛は通常、痛みが腰から下肢にかけて広がる特徴があります。

尿路結石

尿路結石は、腎臓や尿路に結石ができることで発生する病状です。腰の片側に激しい痛みを感じることがあり、最初は「ぎっくり腰」だと思って病院に受診し、精密検査で尿路結石が原因発見されることがあります。尿路結石の場合はしばしば腹部や背中、さらには下腹部にまで痛みが広がります。血尿や排尿時の痛みを伴うこともあります。

内臓疾患

特定の内臓疾患、例えば膵炎や胃潰瘍なども腰痛を引き起こすことがあります。これらの疾患による痛みは、ぎっくり腰の痛みと似ていることがありますが、通常は他の消化器症状(例えば、腹痛、吐き気、嘔吐)を伴うことが多いです。

ぎっくり腰の症状

ぎっくり腰の症状は、突然の強い痛みが主です。具体的な症状は以下の通りです。

  • 急激な腰の痛み: 物を持ち上げたり、体をひねったりした瞬間に発生する鋭い痛み。
  • 動けなくなる: 痛みのために動くことが難しくなり、立ち上がったり歩いたりするのが困難になります。
  • 腰の筋肉の硬直: 腰部の筋肉が硬くなり、触れると痛みを感じます。
  • 痛みの範囲:: 腰だけでなく、お尻や太ももにまで痛みが広がることがあります。
  • 姿勢の変化: 痛みを避けるために不自然な姿勢をとることがあり、これがさらに他の部位に負担をかけることになります。

原因

ぎっくり腰の主な原因は、腰部の筋肉や靭帯への負担やストレスです。以下のような状況が原因になることがあります。

  • 重い物の持ち上げ: 正しい姿勢で持ち上げなかった場合、腰に過度な負担がかかります。
  • 不意の動き: 予期しない動作や急な体のひねりが腰の筋肉を傷つけることがあります。
  • 長時間の同じ姿勢: 長時間座ったり立ちっぱなしだったりすると、腰の筋肉が硬直しやすくなります。
  • 運動不足: 筋肉の柔軟性や強度が低下し、腰に負担がかかりやすくなります。
  • ストレス: 精神的なストレスが筋肉の緊張を引き起こし、腰痛を悪化させることがあります。

治療法

治療法は、痛めた部位よって違います。症状別のページで解説しています。

急に腰が痛くなった場合は、まず安静にすることが重要です。痛みがひどい場合は、冷やすことで炎症を抑えます。

何も原因がなく激痛に襲われた場合は、内臓疾患や感染症などの疑いがあるため、早急に医療機関を受診してください。