腱板断裂(けんばんだんれつ)は、肩の腱板(けんばん)という筋肉と腱の組織が、部分的または完全に切れてしまう状態です。

肩の腱板は、肩関節の安定をサポートする重要な役割を果たしています。

腱板が損傷すると「肩を動かすと痛い」「肩が上がらない」など、五十肩に似た症状が現れます。

そのまま放置してしまうと、病状が進行し、腱板が完全に切れてしまう完全断裂という重症状態に落ちってしまいます。こうなってしまうと、まったく肩が上がらなくなります。手術の対象になります。

高齢になると、痛みがないのに腱板が断裂することがあるので、注意が必要です。

腱板断裂の症状

腱板断裂の主な症状は以下の通りです。

  • 肩の痛み:肩を上げるときや、夜間に痛みが強くなることが多いです。
  • 肩の動きの制限
    損傷範囲にもよりますが肩を上げたり、後ろに回したりする動作が難しくなります。
    完全に切れてしまうと、まったく肩が上がらなくなります。
  • 肩の筋力低下:重いものを持ち上げるのが難しくなったり、肩がだるく感じたりします。
  • 肩の音:肩を動かしたときにポキポキと音がすることがあります。

原因

腱板断裂の原因は、加齢と使いすぎが多数をしめます。

  • 加齢
    年齢とともに腱板が弱くなり、断裂しやすくなります。
    50歳以降で発症しやすくなります。
  • 反復動作
    同じ動作を繰り返す仕事や日常生活が原因になることがあります。
    運送業や造園業、農作業など、腕をよく使う仕事についている人などに多くみられます。
  • 怪我
    転倒や重いものを持ち上げたときの急激な力がかかることが原因です。
  • スポーツ
    野球やテニスなどの肩を多用するスポーツによって引き起こされることがあります。

診断

腱板断裂の診断には以下の方法が用いられます。

肩関節の可動性検査
肩の動きや筋力をチェックします。
両腕を下げた状態から、腕を伸ばした状態で上へあげていきます。このとき「60度から120度」の間で痛みが起こる場合は、腱板断裂の可能性があります。
完全断裂があると、まったく腕は上がりません。

※確実な診断には、医師によるMRI、超音波検査が必要です。


なかもと整骨院での治療法

腱板断裂の治療法は、症状の重さや患者様のライフスタイルに応じて選択されます。

  • 筋膜リリース
    筋膜リリースは、肩周囲の筋肉と筋膜の緊張をほぐすための手法です。緊張すると痛みや動きの制限を引き起こします。手技を用いてこの膜を柔らかくし、肩の可動域を広げることを目的とします。
  • 関節モビリゼーション
    関節モビリゼーションは、肩関節の動きを改善するために行われる手技療法です。これは、関節を優しく動かすことで、関節包や周囲の組織の柔軟性を向上させ、動きの範囲を広げることを目的とします。関節モビリゼーションは、痛みを伴わずに関節の動きを改善する効果があります。
  • ストレッチング
    肩周囲の筋肉を柔軟にするために行います。特に、肩の前部と後部の筋肉を伸ばすことで、腱板にかかる負担を軽減します。
  • テーピング
    肩関節をサポートし、筋肉や腱の負担を減らすために用います。テーピング技術を使って、肩の安定性を高めることで、腱板の治癒を助けることができます。

当院では、これらの手技療法を組み合わせて、個々の患者様に最適な治療プランを提供しています。患者様一人ひとりの状態を丁寧に評価し、最も効果的な手技療法を選択しますので、安心してご相談ください。


腱板断裂の治療においては、適切な手技療法を継続的に受けることで、痛みの軽減と機能の回復が期待できます。
痛みや動きの制限でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。